成人矯正
成人矯正とは
成人矯正とは、すべての歯が永久歯へと生え変わり、顎の骨の成長もすでに済んでいる状態から行う矯正治療です。叢生(乱ぐい歯)や八重歯、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)、開咬や過蓋咬合など、患者さまの症例に合わせて適切な矯正治療をご提供します。
「矯正治療はお子さまだけが行えるもの」と思われがちですが、成人やご高齢の方もお受けいただけます。歯並びを整えるのは見た目を良くすることで、コンプレックスを解消できます。
また、歯磨きがしやすく、虫歯や歯周病のリスクを減らします。噛み合わせのバランスが整い、しっかり噛めることで消化や吸収を助け、胃腸への負担を減らし、また老化防止にも繋がります。このように成人矯正の目的は、健康で美しい口元を作ることで、心と身体の健康を手に入れることといえます。
唇側矯正(表側矯正)
唇側矯正(表側矯正)とは
唇側矯正とは、歯の表側にマルチブラケット装置などを装着し治療していく方法で、「表側矯正」や「ラビアル矯正」とも呼ばれます。
治療法として最も歴史が長く、現在も広く一般的に行われているため術式が確立しています。歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を着け、ブラケットを繋ぐようにワイヤーを通して、適切な力をかけ、少しずつ歯を動かしていきます。治療が進む毎にワイヤーの交換が必要で3~4週に1回の通院が必要です。
唇側矯正の特徴は、幅広い症例に対応し、苦手な症例がほとんどないことです。最も歴史が長く実績のある治療方法なので、デコボコの歯並び、受け口(下顎前突)、出っ歯(上顎前突)など、ほぼすべての症例に対応が可能です。
唇側に装置が着きますので、舌側矯正(裏側矯正)のように舌に装置が触れることがないため、発音や咀嚼に違和感が出ることがほとんどありません。
また唇側矯正は、ワイヤー矯正の中で最も治療期間が短いとされる矯正方法です。全体矯正にかかる期間の目安は1~3年程度、部分矯正にかかる期間の目安は2ヶ月~1年程度です。
唇側矯正(表側矯正)はこんな方にお勧め
矯正治療にかかる費用をできるだけ抑えたい方
矯正装置が見えても大丈夫な方
矯正を早く終えたい方
装置の取り外しをするのが面倒だと感じる方
唇側矯正(表側矯正)のメリット
比較的値段が安い
滑舌への影響が少ない
ブラッシングが行き届きやすい
適応範囲が最も広い
唇側矯正(表側矯正)のデメリット
矯正装置が目立つ
しっかり歯磨きを行う必要がある
慣れるまでは違和感を感じやすい
唇側矯正(表側矯正)装置の種類
矯正治療を受けたいと思っても、金属のブラケットとワイヤーに抵抗があり、矯正治療になかなか踏み切れないというご相談をいただくことが多々あります。
近年は矯正装置の進化により、唇側矯正(表側矯正)でも目立ちにくい装置の選択が可能となりました。白色や半透明のブラケットと、ホワイトワイヤーと呼ばれる白色にコーティングされたワイヤーなど、さまざまな矯正装置が登場していますので、唇側矯正(表側矯正)でも目立ちにく矯正治療が行えます。
セルフライゲーションシステム(ローフォース・ローフリクション)
セルフライゲーションシステムとは、ブラケットにシャッター構造があり、ブラケット自体にワイヤーを固定する構造が組み込まれています。ブラケットとワイヤーが固定されていないので、多少の“あそび”を持ちながら、歯に対して緩やかに矯正力をかけていきます。
従来の装置ではブラケットとワイヤーを一つずつゴムや結紮線で固定する必要がありました。このためワイヤーで引っ張る力が大きく、歯にかかる摩擦も大きいため、歯の効率的な移動の妨げや痛みの原因になっていました。
セルフライゲーションシステムは、摩擦抵抗が抑えられているため、歯の動きが滑らかで、自然な弱い力で効率的に歯列を整えていきます。
デジタルワイヤー矯正システム(Symphony)
デジタル技術で歯列をシミュレーションした先進的な矯正治療システムです。Symphonyシステムの特徴は CTの撮影データとの連動です。従来の矯正治療は主に歯だけを移動させるものでしたが、SymphonyシステムではCTとの連動により歯根や歯槽骨の位置関係を考慮した専用のワイヤーを作製。これにより、より精度の高い効率的な矯正治療が可能になります。
舌側矯正(裏側矯正)
舌側矯正(裏側矯正)とは
舌側矯正(裏側矯正)とは、その名の通り歯の裏側に矯正装置を着けて歯を動かしていく治療法です。周囲の人に矯正中と気づかれにくいため、口元の美しさを気にする患者さまに人気です。歯並びや口元が気になってきれいにしたいのに「表側に装置を着け、さらに口元を気にしながら過ごすのはとても嫌」と思われるお気持ちや「お客さまと接する仕事なので装置が見えてしまうと困る」といった事情は当然だと思います。
そのような方には、舌側矯正(裏側矯正)治療をお勧めします。歯の裏側に装置を着けて治療をするため、できるだけ矯正治療をしていることを知られたくない、仕事柄見える装置が着けづらい、結婚式の予定がある方など、ご要望に合わせて最高の笑顔づくりをお手伝いします。
舌側矯正(裏側矯正)はこんな方にお勧め
矯正していることを知られたくない方
人と接することが多い仕事なので目立ちたくない方
矯正中も思いきり口を開けて笑いたい方
前歯が目立つ方
結婚式などのイベントを控えている方
治療中にホワイトニングを希望される方
舌側矯正(裏側矯正)のメリット
見た目を気にせず矯正治療が受けられる
矯正治療中に虫歯になりにくい
スポーツが普段通りできる
管楽器などの演奏に支障がない
舌側矯正(裏側矯正)のデメリット
慣れるまでは、舌に違和感を感じることがある
初めのうちは発音しづらい場合がある
慣れるまで歯磨きが難しい
舌側矯正(裏側矯正)装置の種類
舌側矯正(裏側矯正)とは、ブラケットやワイヤーなどの装置を歯の裏側に付ける治療法です。リンガル矯正とも呼ばれていて、周りの人から気づかれずに治療することができます。
顔の印象がほとんど変わらないため、最近では多くの患者さまが利用し始めています。舌側矯正(裏側矯正)には年齢制限はありません。子供から大人の方まで矯正治療が可能です。
デジタルワイヤー矯正システム(HARMONY)
デジタル技術で歯列をシミュレーションし、ブラケットからワイヤーまで一貫して設計・製作されるオーダーメイドの舌側矯正システムです。患者さまごとにオーダーメイドで矯正装置が設計されるため、歯に完全にフィットし、快適かつ、より良い治療結果を得ることができます。
リンガルブラケット矯正装置(クリッピーL)
リンガルブラケット矯正装置(クリッピーL)は、ブラケットとワイヤーの固定にシャッター構造を採用したセルフライゲーションタイプの装置です。
ブラケットに開閉式の蓋が付いており、ブラケットの溝にワイヤーを通したあと、その蓋を閉めるだけでワイヤーの設置が完了します。
摩擦抵抗が抑えられているため歯の動きが滑らかで、自然な弱い力で効率的に歯列を整えていきます。非常に薄い装置なので、装着後の違和感や痛み、発音のしづらさを軽減します。
リンガルブラケット矯正装置(WIN)
リンガルブラケット矯正装置(WIN)は、CAD/CAM 技術を用いて、患者さまお一人おひとりに合わせたブラケット矯正装置を作るカスタムメイドシステムです。非常に薄く設計されたブラケットは快適で、発音に対する影響が従来の装置に比べると少なくなりました。
もちろん外から矯正装置が見えませんから、矯正していることに気づかれず、学校生活やお仕事に支障をきたしません。
※リンガルブラケット矯正装置(WIN)は、日本の薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正の詳細はこちらをご覧ください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さまの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- さまざまな問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の噛み合わせに合った状態の被せ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
未承認医療機器の使用について
●未承認医薬品等の使用・国内の承認医薬品等の有無について
(未承認医薬品等の使用)
当院で使用していますマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、日本国薬機法上の医療機器として認証・承認を得ていない装置であり、日本国歯科技工士法上の矯正装置にも該当しません。そのため、万が一海外カスタムメイド矯正装置使用中に違和感等ございましたら、すぐに当院までご連絡をお願いします。
装置は、日本で歯科医師・歯科技工士が製作するのではなく、海外の工場でロボットにより製作されます。カスタムメイドの矯正装置であり、既製品ではないため(市場流通性がありません)、薬機法の対象となりません。薬機法の対象外であるため、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。その点ご了承ください。
(国内の承認医薬品等の有無)
マウスピース型カスタムメイド矯正装置のメーカーは国内外に多数あります。インビザライン®以外に、日本国で承認を得ている矯正装置を用いた治療法が存在します。
※上記の趣旨をご承知の上、使用を希望される場合には同意書の記載が必要となります。
●入手経路について
当院が使用するマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、米国アライン・テクノロジー社の製品です。当院はインビザライン®を用いた治療システムを、米国アライン・テクノロジー社のグループ会社である「アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社」より入手しています。
●諸外国における安全性等の情報
インビザライン®は、1998年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けていて、これまでに治療を受けた患者さまは、世界で520万人(2018年1月時点)に上りますが、重大な副作用の報告はありません。ご不明点等ございましたら一度ご相談ください。
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※詳細は診療カレンダーをご確認ください。