前歯が閉じられない
開咬(前歯が閉じられない)の治療例1
下顎右側側切歯先天性欠如及びアングルⅢ級をともなう開咬症例
術前
術後
主訴:咬み合わせが悪く、噛まないで呑んでいるのが気になる。発音がはっきりしないのが気になる。
年齢:28歳9ヶ月
性別:女性
使用装置:マルチブラケット装置、リンガルアーチ、矯正用アンカースクリュー、アンカープレート
治療内容:
1.前歯部開咬とハイアングルに関しては、固定源として歯科矯正用アンカースクリュー、アンカープレートを植立し、上下顎臼歯部の圧下を行うことで下顎骨の反時計回りの回転を期待する。
2.Angle Ⅲ級の大臼歯咬合関係の改善の為に、上顎は左右側第二小臼歯を抜歯し固定源として歯科矯正用アンカースクリューを用い近心移動を行った。
3.下顎前歯の唇側傾斜および叢生の改善の為、下顎左側第一小臼歯を抜歯した牽引用スペースの利用と右側臼歯部の遠心移動を行った。
4.下顎歯列正中線右方偏位に関しては、下顎左側第一小臼歯の抜歯スペースを利用して、左方へ牽引。
5.歯科矯正用アンカースクリューを用いて、特に上下顎右側臼歯部を圧下し、咬合平面の対称性を図ると共に、下顎左方偏位の軽減も狙う。
6.下顎左右側犬歯から第三大臼歯にかけての近心傾斜に関しては、遠心へ整直し改善。
7.ワイヤーで拡大した上顎のスペースを使用し、下顎大臼歯部を頬側に整直。
8.下顎右側側切歯先天性欠如に伴い、Tooth size ratioから大臼歯部関係は左側Ⅰ級、右側Ⅱ級とする。
9.舌の悪習癖に関してはMFTを行い、舌突出癖の改善と舌の正しい位置を修得。
抜歯部位:上下顎両側5番8番、下顎右側8番、下顎左側4番8番
来院回数:28回
治療期間:2年1ヶ月
治療総額(税込):727,000円
リスク・副作用:歯根吸収、変色、歯肉退縮、歯間鼓形空隙の開大、骨性癒着等
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さまの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- さまざまな問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の噛み合わせに合った状態の被せ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
未承認医療機器の使用について
●未承認医薬品等の使用・国内の承認医薬品等の有無について
(未承認医薬品等の使用)
当院で使用していますマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、日本国薬機法上の医療機器として認証・承認を得ていない装置であり、日本国歯科技工士法上の矯正装置にも該当しません。そのため、万が一海外カスタムメイド矯正装置使用中に違和感等ございましたら、すぐに当院までご連絡をお願いします。
装置は、日本で歯科医師・歯科技工士が製作するのではなく、海外の工場でロボットにより製作されます。カスタムメイドの矯正装置であり、既製品ではないため(市場流通性がありません)、薬機法の対象となりません。薬機法の対象外であるため、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。その点ご了承ください。
(国内の承認医薬品等の有無)
マウスピース型カスタムメイド矯正装置のメーカーは国内外に多数あります。インビザライン®以外に、日本国で承認を得ている矯正装置を用いた治療法が存在します。
※上記の趣旨をご承知の上、使用を希望される場合には同意書の記載が必要となります。
●入手経路について
当院が使用するマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、米国アライン・テクノロジー社の製品です。当院はインビザライン®を用いた治療システムを、米国アライン・テクノロジー社のグループ会社である「アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社」より入手しています。
●諸外国における安全性等の情報
インビザライン®は、1998年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けていて、これまでに治療を受けた患者さまは、世界で520万人(2018年1月時点)に上りますが、重大な副作用の報告はありません。ご不明点等ございましたら一度ご相談ください。