小児矯正
顎が成長していく子どもだからこそ、できる治療があります
子どもは大人より適応力があります。早く治療を始めることで、将来予想される悪い歯並びを避け、永久歯が正常な位置に生えるよう誘導することが可能です。そんな将来を見据え、健やかな成長に導くために、小児矯正では知識や技術が求められます。当院では、お子さま一人ひとりの骨格や成長、環境に合わせた小児矯正治療を行います。
適切なタイミングで必要な治療を
現在の子どもたちは、塾や習い事、クラブ活動など忙しい毎日を過ごしているようです。一方、矯正治療に関しては、この時期しか行えない治療があるのも事実です。当院では、お子さまそれぞれのライフサイクルを考慮し、「適した時期」に「ふさわしい方法」で「負担が軽く」、「効果」を目指した治療を行います。
子どもの矯正治療は一期と二期があります
小児矯正には2つの時期があることをご存知ですか?
乳歯、混合歯列期の矯正治療を第一期治療と呼び、乳歯がすべて永久歯に生え変わった時期の矯正治療を第二期治療と呼びます。それぞれの時期に適切で効果的な治療を行っていきます。
第一期治療で顎の成長をコントロールし、不正咬合の複雑化の防止や向上を目指し治療を行います。幼児期の指しゃぶりや舌の癖など歯並びに悪い影響を与える悪習癖を取り除くトレーニングも必要に応じて行います。
こうした治療を行うことで第二期治療が不要になる場合があります。また多くの場合、歯を抜く矯正(小臼歯抜歯)を避けられます。
【第一期治療】乳歯と永久歯が混ざる時期(6~12歳)から始める治療
顎の発育が一番盛んな時期を利用して矯正治療を始めます。上顎前突(出っ歯)・下顎前突(受け口)の矯正や、永久歯が生えるスペースを確保する治療を行います。
顎の幅が小さい場合は拡大装置を付けて促進させ、大きすぎる場合は抑える装置を使用します。第一期に矯正治療を行うことは、正しい顎の成長を促すことでもあります。
【第二期治療】永久歯が生え揃った時期(12歳~)から始める治療
骨の成長がほぼ止まり、骨格面の矯正は難しくなりますが、その一方で本格的な矯正治療として歯の移動ができるようになります。機能的に優れ、審美的にも美しい歯並びと噛み合わせを確立することが目的です。大人の矯正と同じく、ワイヤーや取り外しできるマウスピースを用いた矯正治療を行います。
小児矯正のメリット
顎や関節が軟らかい子供は、大人に比べて歯が動きやいです。顎の成長を矯正治療に利用することで、痛みが少なく治療期間が短くて済みます。
顎やお顔の成長のバランスが整えられる
お口が正常に機能するように治せる
健康や記憶力・発音にも良い影響がある
コンプレックスが解消できる
小児矯正のデメリット
メリットの多い小児矯正ですが、デメリットがあることも確かです。小児矯正のマイナス面もしっかり理解しておきましょう。
矯正治療の期間が長引くことがある
顎の成長に合わせて歯並びを治していくため、一時的に歯並びが乱れることがある
矯正装置の種類によっては、虫歯になるリスクが高くなる
小児矯正で使用する装置
急速拡大装置(拡大床)
●顎を拡大し歯が並ぶスペースを作る矯正装置
急速拡大装置(拡大床)は、歯がきれいに並ぶためのスペースが足りない場合などに上顎の横幅を広げるための固定式の装置のことです。お子さまの顎骨が柔らかい時期の治療に使います。この急速拡大装置を使用することで、上顎の骨の成長を促し骨格や歯列のアンバランスを同時に改善できます。
永久歯が全て生え揃う前(混合歯列期)に治療をスタートできれば、永久歯がきれいに生え揃うスペースが確保できるので、矯正治療のための便宜抜歯が回避できます。
また、上顎を広げることで鼻呼吸しやすい環境が作り出せ、鼻腔が広がることで口呼吸から鼻呼吸への改善も期待できます。(上顎が狭いと空気の通り穴である鼻腔も狭いことが多く、鼻呼吸しにくくなる場合があります)
急速拡大装置の注意点としては、装置による強い違和感が挙げられます。装置が固定されているので、喋りにくく感じることがあります。また自分で取り外せないため、食事や歯磨きなどに注意が必要です。
床装置
●顎を拡大し歯が並ぶスペースを作る取り外しが可能な矯正装置
床矯正とは、取り外し可能な矯正装置を使用して、顎を広げて歯を並べます。抜歯をする必要がなく、痛みがほとんどありませんので、小さいお子さまが無理なく歯科矯正を行えます。
ヘッドギア
●顎を固定源に上顎の発育を抑えて、臼歯を後方に移動させる矯正装置
ヘッドギアは成長途中の子どもを対象とした装置です。上顎の骨を後方へ引っ張ることで、前歯を後ろに移動させたり、奥歯が前に移動しないようにします。
奥歯を後方へ移動させて前方の歯が生えるためのスペースを作り、将来的に抜歯をしなくて済む環境を作ります。
親子で矯正治療
歯並びは、直接遺伝するわけではありませんが、顎の骨の形や大きさ、歯の大きさや質などは遺伝するといわれています。これらが組み合わさることによって歯並びに影響を与えます。もちろん生活習慣や癖などの後天的要素もあります。
当院では、お子さまだけでなく、親御さんも一緒に親子で矯正される方が多くいらっしゃいます。お子さまだけでなく、ご自分の歯並びが気になる方は、お気軽にご相談ください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さまの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- さまざまな問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の噛み合わせに合った状態の被せ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。